★2003/04/23 Wed |
「まさか反対側にも在ったんだ...?」 ジュジュは驚きで目を見開いて言った。 ヌルヌはしわしわの顔の目を細めて言った。 |
★2003/04/24 Thu |
ヌルヌは最高位の呪術師だった。投げられた石の配置からあらゆるものが読み取られた。その投げられた石の配置は、偶然にも中心となるダークストーンを挟んで緑の石の対称系ができていた...。 ゆっくりヌルヌがジュジュに顔を向けて言った。 ジュジュが瞬きもせずに凝視して言った。 |
★2003/04/25 Fri |
「う〜む、よくわかったな。石は1つずつに見えて実は2つじゃ...。ピラミッドの形の4角錐が底辺を同じくしてピッタリと着いている...。 ヌルヌは射通すような鋭い目つきで笑った。 ジュジュが大声で叫んだ。 ヌルヌは突然、冗談のようなひょうきんな顔に豹変し、大笑いしだした。 |
★2003/04/29 Tue |
もう1つの“反対側”でジュジュは明日もわからぬ老人として病床にあった。死は毎日のようにジュジュを訪ね、その存在を無意味で憂鬱なものに塗り替えようとしていた。 |
★2003/05/08 Thu |
ココレレはヌーヌルの館にいた。 ココレレはきゅびすを返すと一目散に階段を矢のようにダダダと駆け下った!1階のドアのノブに手が掛かった。 |
★2003/05/08 Thu |
肩すかしをくらったように同時に向こう側からノブが回った?! 一瞬なにかの姿がフラッシュして入れ違ったような感じがした!?...が、そこには誰もおらず、夜の外気がココレレの顔にせまった。 ココレレは振り返りもせず一目散に闇を走り走って走り抜いた。 |
★2003/05/12 Mon |
ヌーヌルは予告どうりに、村に帰還したココレレをまんまと拉致しヌーヌルの館に幽閉した。いったいどのような目的を持ってヌーヌルが執拗にココレレを狙い続けるのかは謎であった。 ヌーヌルがぬっと立ち上がった。 |
★2003/05/14 Wed |
ココレレの走る背後から大きな思念の塊のようなものがドッと追い付いてくる?! ココレレの視覚野に聞き慣れた声が響いた。 ココレレはバッタリとその場で止まった! |
★2003/05/15 Thu |
振り返ったココレレに、爆破テロのように、ありとあらゆるおぞましい思念が形態と現象となってそこに炸裂した。あらゆる憎しみと悪意が、痛みと苦しみと悲しみを伴い、現実の形相でココレレを襲った。無意味感が衝撃波としてその周りを取り囲み、支配した! ココレレはまるで仁王像のように目をカッと見開き、それらを見据えた!? |
★2003/05/16 Fri |
やがてそれらが消え去ると、ココレレを奇妙奇天烈な無数のデーモンの兵士が取り囲んでいた。醜悪な吐息のガスがシューシューと聞こえ、まるで地獄の噴煙の中にいるように思えた。 地の底から声が響き渡った。 ジュジュの声が虹のように視覚化した |
★2003/05/23 Fri |
ヌーヌルの声が地を震わせた。 サンコニャが静かにソードを正眼に構えた。 |
★2003/05/27 Tue |
サンコニャが黄色く光るソードを真直ぐ構え言った。するとソードの輝度がまぶしいほどに上がった。 青白く光ったソードをヌーヌルは腰からすらりと抜いて下段に構えた。ヌーヌルのソードは一気に白い輝きを増した。 |
★2003/05/28 Wed |
まるでスローモーションのサインを見るように2人のソードの光の軌跡が闇に浮かび上がった。それはときたま激しくぶつかり光の束を永久の彼方に投げかけた。 ヌルヌはコンジャクションになっていた緑の石を空中に止めたまま、そのまま手中に収めた。 |
★2003/05/30 Fri |
「あっ?待ったなしですよ!?ヌルヌ!」 ジュジュが言った。 「アレ?玉虫だ?!ヌルヌ!?」 ジュジュが顔を上げヌルヌを見た。 |
★2003/06/04 Wed |
石の庭を高く舞い上がり、松の梢の明るい空間にすいこまれるように2匹ともいなくなった。 ヌルヌが上を仰いだまま笑みをたたえ言った。 瞬間するりと抜け、身の丈ほどの高さに浮かんでヌルヌが言った。 |
★2003/06/07 Sat |
「グリーンポラリスはコントロールできるの?」 ジュジュが言った。 ヌルヌがゆっくり地上に降りながら言った。 ジュジュが聞き返した。 ヌルヌは彼方を眺めるように言った。 |
★2003/06/09 Mon |
そう言い終わるとヌルヌは懐から雨蛙を取り出し、グリーンポラリスの在った位置に静かに置いた。蛙はしばらくじっとしていたが、そのまま2、3度飛び跳ね、石の庭の松の根方あたりで見えなくなった。 「カエル?!」 ジュジュが目を丸くして、そのままヌルヌを見た。 ヌルヌはしたり顔で言った。 ヌルヌが続けて言った。 ジュジュが反駁して言った。 |
★2003/06/20 Fri |
石の庭の空気は、湿気を帯びてボツリボツリと大粒の雨が、中央の大きな黒い石に当った。 ヌーヌルのソードは振り降ろしざま一瞬真白にスパークした。 |
★2003/06/25 Wed |
ヌーヌルの一撃をサンコニャは渾身の力をもって受け止めた! 無表情な仮面の顔が無気味に喋った。 サンコニャはついぞ言葉も出なかった。 |
★2003/08/11 Mon |
それは6万年ぶりの大接近だった。整然と見える軌道に乗りながら、その惑星は威力を増してきていた。戦いを象徴する赤い輝きが無気味に輝度を増した。 ズモクが、ワイドスクリーンに見入って言った。 「このゴマフートの神々さえ、動きが見えぬ、...どうにもなることではない...。」 傍らにいた、タレスが言った。 「それに、われわれは干渉してはならないことになっている...。」 半透明のスパイダが言った。 |
★2003/08/12 Tue |
ジュジュはひん死の床に臥していた、...死は目前だった。生のままならない苦痛とは違う、覚めた知恵そのものの自分に気づいた。あらゆる認識はそのままの形でやって来た。順序がランダムに現れてはつながっていた己の生の記憶が、一気に煩わしさを抜けた。 ジュジュの毛筋一本動かさず、思考だけが走った。 |
★2003/08/13 Wed |
ジュジュは存在の不思議を思った。こうやって死にかけてみると、現実の死は恐怖よりもむしろ迷路を抜け出た感じで、爽快感に満ちたように思えた。 己の存在が無くなることは、あらゆる遍在に開かれているようにも思えた。 ジュジュはこの場に及んで自らを投げかけた。 ...魂の深みは、はかり知れない深度から滾々と湧き上がる漆黒の湧水の様であった。 |
★2003/08/14 Thu |
「転生の終わりの段階にさしかかっておる者がどのように出現するかが問題じゃな...。」 タレスが長い顎髭をなでながら、ゆっくり巨大なスクリーンから向き直り言った。 ギリシャ神話のゼウスのような風貌のズモクが、響きわたる明瞭な声で言った。 振り返った顔に八個の複眼がスクリーンを映し込んだ。 |
★2003/08/15 Fri |
ヌルヌは持っていたグリーンポラリスを、機を見て、やおら黒い中心の石めがけてポイと投げた。石は中心石の中空に止ると、微かな振動と唸りを上げた。しばらくすると黒い中心石は強烈なグリーンに発光を始めた。地響きと共に想像を絶する規模で石の全容が浮かび上がった! ヌルヌが言った。 「さよなら、ヌルヌ。また遊びましょう。」 ジュジュが言った。 |
★2003/08/18 Mon |
ジュジュは砂漠の都市にいた。砂嵐を予感する雲がミルクコーヒー色に南方の空を占めると、早くも目も開けていられないほどの細かいパウダーに見舞われた。 「行くのか!?旅の人...。」 子供をかたわらに抱えた男が引き止めるように声をかけた。 「...あんたのおかげでこいつは助かったんだ。なにかお礼をさせてくれ...。」 男はジュジュの後ろ姿に叫んだ。 |
★2003/08/20 Wed |
「一度止まった心臓を再び動かせたあなたは神様ですか!?」 男が叫ぶのが聞こえた。 |
★2003/08/21 Thu |
強烈な砂のジェットが、寸前でジュジュを避けて流れてゆく? |
★2003/08/22 Fri |
この、ジュジュと、救済された親子、それに羊の一団は、砂漠にちりばめられた交易都市をゆっくり流浪した。4つ目の“象の雨”という街に着くころには、奇跡の人を慕う千人を超える大一団となっていた。 |
★2003/08/27 Wed |
そのころ、“象の雨”では絶世の美女と近隣の国々よりうたわれる「王女サファイヤ」が統治していた。 王女サファイヤの姿たるや遥か離れた場所からも、その立ち姿に気品と優雅さがうかがわれた。その眉は涼やかで、瞳は砂漠に突如として見える深い紺碧の色をたたえた湖のようであった。 |
★2003/08/28 Thu |
交易都市“象の雨”の平和は、ひとえに王女の気品と美貌に支えられていた。 お知らせの男が叫んだ。 |
★2003/09/02 Tue |
「この“象の雨”に、あなたが来て下さるのを心から望んでいました。」 王女サファイヤがジュジュの一行を大きな椰子の木陰に迎えた。 ジュジュは王女を見て感嘆した。 |
★2003/09/03 Wed |
「...砂漠の深い夜の星よりも光り輝く...“象の雨”の王女、...過ぎ行く“時”を相手に戦いを挑む、...あなたもまた、私と同じ存在の冒険者...。」 突然ジュジュが、王女の瞳をみつめたまま瞬きもせず謎のように言った。 王女サファイヤがジュジュに確信のほほえみを返した。 |
★2003/09/10 Wed |
そこにどこからともなく妙なる打鐘の音が響いてきた。 「明らかにするものなど何も無い、すべては人の心が作り出したものだ。惑わされてはならぬ。」 男がジュジュを直視して言った。 |
★2003/09/30 Tue No.33 “石の庭” |
ピンと伸びた背筋、何の曇りもない鍛え抜かれたスマイル。...オブロニだった。 「きさま、何もわかっておらんな。この美しさは真実とは無縁だ。」 オブロニがジュジュを真正面に見据えて言った。 オブロニは言い終わるやクルリと背を向け、打鐘を鳴らしさっさと人込みに消えた。 |
★2003/10/01 Wed |
「象の雨の王女、あなたの美しさにわたしは今、あやうく心を奪われそうになった!...死の瀬戸際にあるものすらきっと虜にする...。」 ジュジュは王女を真直ぐ見つめゆっくり言った。 王女サファイヤの深遠の瞳が深さを増したように開かれた。 |
★2003/10/07 Tue |
王女の謁見を終えたジュジュの前に、今まで抑えられていた大勢の人垣から傾れるように人が倒れ込んできた。 |
★2003/10/09 Thu |
ジュジュが顔を上げ言った。 「私は今理解した...。あなた方の苦しみ、悲しみ、痛みは、私そのものの痛みではありません...。それはあなた方自身のものなのです...。この途方もなく辛い苦しみと、救われない悲しみと、堪えきれない痛み、これらを今、あなた方はあなた自身に降り掛かった厄災以上のものとして理解することが大切です...。この悲惨な恐ろしい生にあなた方は神を呪うことでしょう...。しかし、あなた方の重荷を除くことが決して良いことでないことを、私は今、理解しました...。」 その目は涙をいっぱい溜めていた。 「ジュジュ様...!お慈悲を!!」 |
★2003/10/10 Fri |
「...私は王女様の預言者コーラです。ジュジュ様、どうかお慈悲でございます。...いったい、この様な者達を見捨てることができましょうや?!ジュジュ様を頼るしか生きる道の無い者達ばかりでございます...!どうか話を聴かれるだけでも、ここにしばしのご留意を!」 女官が、立ち去ろうとしたジュジュの背に言葉を投げかけた。 ジュジュはうなりをあげた。 |
★2003/10/14 Tue |
ジュジュは、己の知らず知らずのおもいあがった考えにひどく赤面した。 |
★2003/10/15 Wed |
声は、ジュジュにあきらかに何者かの威厳のある言葉として響いたが、多くの者には理解を超えた超常の現象として見えた。 |
★2003/11/28 Fri |
ジュジュは、気がついてみると一人大樹の下に目覚めた。ふと、掌が気になってそっと開いた。そこに、あの、金色の透きとおる石が在った。ジュジュはそれにそっと目をやると、そのまま放心した...。 突然ジュジュの居るすぐ上、大樹の顔のような瘤がしゃべった。 |
第二部 ドリームストーンへ 続く
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