外伝 サンコニャの覚醒 編


2002/03/06 Wed

 サンコニャは目が覚めた。漆黒の闇の世界がまだ茫洋とすべてのものを支配していた。ひとつひとつのものの形が痛いほど輪郭をきわだたせているのが不思議に思えて見えた。

 サンコニャは、覗き込んだ飛行機の窓から星のギラつく様子をみて
自分が誰だったかをはっきり知った。
「ぼくはサンコニャだ...。」

 

2002/03/07 Thu

 サンコニャは自分の運命を思い出して、その数奇な道筋にあらためて得体の知れない漠然とした意志を感じた。

 深夜のアフリカの大地を見下ろしながら、ぼんやりと思った。...自分は今、どこに向かっているのか?
 このアフリカから離れようとしている...。

 はじめて自分が、アフリカの一部だったことを驚きとともに認識した。

 空から感じるアフリカの大地は“ウオーム”な波動に満ちていた。まさに“生き物”のようだった。

 

2002/03/13 Wed

 大きな樹の下で2台のボギリが鳴っていた。まるでその上を、数人の天女が舞うのが見えるような気がサンコニャにはした。

 そのとき、どこからともなく声がした。
 それがヨージェメをサンコニャが見た最初だった。
 サンコニャは、なつかしい人に再会したような感じでいっぱいになった。

 

2002/03/14 Thu

 サンコニャは16才になっていた。アクラのニマの町でボギリを弾かせたら誰にも負けないと言われるほどの名手になっていた。ストリート横にある椰子の大樹の木漏れ日の下、その日も黒山の人だかりができていた。

 

2002/03/14 Thu

 誰もがボギリの不思議な音色にうたれた。
 サンコニャが、このような名手になったのには秘密があった。

 あるときから、毎晩のようにサンコニャは深夜になると夢を見た。その夢にヨージェメが現われてサンコニャにボギリを教えた。

「いいか、サンコニャ、この音楽は先祖からず〜っと受け継いだもんじゃ。...弾いてるのはおまえじゃが、おまえじゃない、...わかるか?...こうしてボギリは“ただの音楽じゃなくなる”のじゃ。」
 ヨージェメが低く強い声で言った。

 

2002/03/15 Fri

ぼんやりと、深夜のジェット機の窓をながめサンコニャの憶いはかけめぐった。

「ココレレはどうしてるんだろう?」
 サンコニャは“もう一人の自分”に思いをはせた。

 

2002/03/19 Tue

 ココレレは遥かかなたの神々の国“ジャパン”に居た...。なぜ日本に...?
 “ジャパン”は地球規模で霊的な波動をいまだ強烈に出し続ける残された場所だ...。
 ココレレの居る“ジャパン”へ...。サンコニャはココレレの居る場所を目差していた。

「16才に再会を誓いあってわかれたココレレ...。」
 サンコニャがつぶやいた。
「僕はわかっていた、こういうふうなるのを...。強力なちからが今、僕にもはたらいてるもの。」
 飛行機は深夜のアフリカをすべるように、ひとまず、オランダのスキポール空港へと向かってた。

 

2002/03/19 Tue

 飛行機から見える“ジャパン”と、はっきりわかる最初のモノは“富士山”だった。サンコニャは、“ジャパン”が特別な霊場なのをこれを見て直感した。
 雲の上に、おちょこを逆さにした形が遠く見えただけで、不思議なすがすがしさが、身体に走った。

 これほどのすがすがしさを発する“ジャパン”に、サンコニャは16才の少年らしく、敬意をもってペコリと一礼した。

 

2002/03/21 Thu

 おりしもガーナはスコールの季節を迎えていた。
 サンコニャは、それ迄まさか自分が“ジャパン”に来るとは思ってもいなかった。あのとき迄は...。
 あるとき、例によってニマのアブラ椰子の下でボギリを弾いていると、突然のスコールにみまわれた。人々とともにサンコニャは近くの人家の軒先きに避難したときのことだ。

 

2002/03/22 Fri

 スコールがやけた空気に涼しさをもたらしてきた。
「お若いの...、そこでジリを弾いていたお方か?お前さんはもうすぐここを離れて遠い遠い精霊の国に行くぞ。」
 雨宿りの群集のなか、乞食のようなうすぎたない貫頭着の、両の眼のつぶれた男が突然つぶやくように言った。
「えっ、?ほんとうですか?!」
 サンコニャが言った。
「むむ、ほんとじゃとも!わしにゃ見えるぞ!そこの国にはてっぺんが平たい美しい白い山がある。そこで、お前さんのジリを弾くとええ!」
 男が言った。
 同時に 椰子の大樹にいた青い鳥が、さっとサンコニャの目の前を横切った。するとみるみる雲が切れはじめ強烈な虹が出た。

 

2002/03/22 Fri

「明日はあそこの小さい橋のたもとでジリをやりなされ、...きっと来るぞ...。」
 男が言った。
「え、?誰が来るんです?」
 サンコニャが言った。
「いや〜、わしにもわからん...。とにかくあそこが“場所”なんじゃ。」
 涼しくなった空気の中、男は杖を差し出し、差し出し立ち去った。

 

2002/03/22 Fri

 翌日、言われたように小さい橋のたもとでサンコニャはジリを弾き始めた。そこは街道筋から少し入った場所だったが、頭にカゴを乗せた女や物売りが、通りすがりに小銭やくだものを投げてくれたりした。

 丁度、太陽が真上にきたころに4〜5人の東洋人の一団
がしばらく橋から見ていたが近寄って来た。

「ココレレ?!、ココレレじゃない?」
その中の一人が言った。

 

2002/03/25 Mon

「えっ?ココレレを知ってるんですか?ぼくはサンコニャと言います!ぼくとは双児の兄弟です!」
 サンコニャが立ち上がって言った。
「知ってますとも!日本にいますよ。」
 その中の一人が目を丸くして答えた。
 たちまち親戚同士が会合したように、音をたててココレレの所在が現実味を帯びた。
 その話によると、数年前にココレレは不思議な現れ方をしたという。

 

2002/03/25 Mon

「それがまったくおどろいたことに、数年前、ある神社の巨木のうろからドンドンと太鼓のような音がして、ココレレが吐き出されるように飛び出してきたと聞いてます。
私達は明日の夜、日本に帰ります。あなたに遇ったことを間違いなくココレレに伝えます。きっとココレレもビックリしますよ。」

 その中の女のひとりが言った。

 

2002/03/26 Tue

「なんだって?神様の樹の穴から飛び出した...?!あれだっ!?」
 サンコニャには覚えがあった。
 自分も地面の穴に投げ込まれたが、ほうほうの体で帰って来れた、..あのイニシエーション。

 

2002/03/26 Tue

 こののち、差出人不明の手紙がサンコニャに届いた。そこには“ジャパン”への航空券が入っていた...。

 そして、サンコニャは迷うことなく“ジャパン”に向け旅立ったのだった。

 

2002/03/26 Tue

 ナリタに降り立ったサンコニャは、最初に“ジャパン”の空気の切れるような感じが気に入った。
 深呼吸して吸い込むと、ひんやりとした清清しさが胸いっぱいになった。

 ...空港到着ロビーには2人の女が迎えにきてくれるはずなのだ。

「サンコニャ!こっち!」
 雑踏の中、キョロつくサンコニャを呼び止める声が聞こえた。

 

2002/03/27 Wed

 てきぱきと、サンコニャの荷物をカートに乗せると、すぐにひとりが車をまわし、荷物をすべて彼女の車のトランクに押し込んで、あっという間に空港を出て高速道路に乗った。

「ようこそサンコニャ、待っていたわよ〜!私はアクワバ。ちょっと飛ばすわよ。」
 運転してる女の一人が言った。
「わたしはミミ、よろしくね!」
 もう一人の学生風な女がバックシートから言った。

 

2002/03/28 Thu

「サンコニャ、あなたは知らないだろうけど、のんびりしてるとやっかいなことになるの!」
 アクアバが言った。

 車のスピードは150キロを越えてた。何処に向かってるかサンコニャは知らなかった。

「僕のことアクアバさんもミミさんも知ってるんだね?」
 サンニャが言った。
「ええ、よ〜く知ってるわよ!ホホホ。」
 アクアバとミミが同時に笑った。
「ど〜して知ってるの?僕は初めて遇うよ。」
 サンコニャは驚いて言った。
「ホホホ、すぐに、分かるわ。」
 アクアバが言った。

 

2002/03/29 Fri

 車は、中央高速の調布インターを降りると一直線に北上して、JR中央線を渡り左折し、しばらくして、玉川上水沿の大きな公園を展望できるマンションの駐車場に入って止まった。

「さあさあ着いたわよ〜、ここがしばらくのあなたの居場所。」
 アクアバが言った。

 

2002/03/31 Sun

 最上階7階の部屋からの展望はさえぎる木立を眼下に、はるか、あの富士山を望むことも出来た。北側の窓からはコンビニの向こうに木造にペンキ塗の家とトタン屋根が並び、さらに向こうには公園の森が広がっていた。その眺めはサンコニャにどことなくアクラを思わせた。

 

2002/04/01 Mon

(みなさんは“アガスティア”の話しをご存知だろうか?そう、葉の上に自分の運命が書かれている、...あの話...。)

「わたしね、しばらくガーナに住んでてね、...そう、わたしは純然たる日本人よ。そう、それでね、あんまりアフリカに居る時いろいろなことがあって、ノイローゼになりそうになっちゃって、...有る年アフリカから日本に帰国する時に、インドに寄ったの。そうそう、その“アガスティアの葉”を見たくて行ったのよ!それがそもそもサンコニャ、あなたと出会うことになる最初のきっかけかな...。」
 アクアバが話しはじめた。

 

2002/04/02 Tue

 アクアバは喋りを続けた。
「それが、...在ったのよ!わたしの“アガスティアの葉”が!...最初、...2回目、みあたらなかったの...、で、あきらめかけたやさきに、わたしの母親の名、父親の名が書かれたのが出て来たのよ!驚いて読んでもらうと、なんとそれはまぎれもなくわたしだったわ。でも、その後の方なの、驚くべきは...!!
 これまで人に比べたらわたしって波乱に満ちた人生だと思っていたんだけど、とんでもなかったわ!
 この“アガスティア”を見て後、“ココレレ”という名の、額にマガタマのアザがある少年と、ほどなく出会うと“葉”に書いてあったのよ。それがはじまり!わたしが彼の道しるべだと書いてあったの!そしてそこにはあなた!サンコニャのことも書かれてあった!そして“ポラリスエナジー”のことも...。死に神のことも。すべては深遠の渦の中にあることも...。」

 

2002/04/02 Tue

「その話を聞いて、わたしもつい最近、アクアバにつれていってもらったの。ホント驚きだったわ!わたしのも在ったのよ!わたしが誰の生まれ変わりかも、どんな恋をして、どんな生き方をして何歳まで生きるかも書いてあったわ!エ〜って感じ!...でも、不思議なことにいくら探してもらっても、サンコニャ、あなた達のが見当たらない...。わたし達の“葉”のなかに出て来るのにね...。」
 ミミが言った。

 

2002/04/03 Wed

「その死に神の手下が最近ココレレに手を出して来るのよ!やつらがなにを考えてるかわからないけどココレレは狙われてるわ。...ほんとはすぐにあなたと引き合わせてあげたいんだけど、今はアブナイわ。居場所も今は秘密なの。ここはまだやつらに知れてないはず...。サンコニャ、あなたは安心して大丈夫よ。」
 アクアバが言った。
「ココレレ...。」
 サンコニャはつぶやいた。
 その顔は夕焼けの照り返しで燃えるようにきれいだった。大きく西の空が、澄んだコバルトブルーから目を見張るような夕焼けに素晴らしい変化をみせていた。そこに遠く“富士”がシルエットになった。

 

2002/04/07 Sun

 アフリカの精霊は“ジャパン”に着くと同時に、ある活性化をした。サンコニャは精霊に使用するメデスン作用のある植物のほとんどをこの大きな公園の囲いのある保存林の雑木林で調達したのだ。

 それはあたかも代理コードでジャズが進行するのに似てた。
 置き換えは、つまり、同じ感じに展開しながら別モノになった。
 意識の介入なしに精霊は“ジャパン”に、ごく自然な同化を果たしたのだ。
 アフリカの精霊はアフリカのまま日本になった!

 

2002/04/08 Mon

 西アフリカでの精霊の住む世界は森だった。これらの代わりはこの大きな公園にあった。精霊は株をひろげるようにこの地に馴染んだ。もっとも精霊の置き換えが興味深いのは“桜”だった。これほど日本的なものが、なんとアフリカ的なのだろうか!

 折しもその公園の桜の老樹の下“桜まつり”が催され花見の客で大いに賑わっていた。

 

2002/04/09 Tue

 はらはらと降り散るさくらの花のなか、ひときわ大きな桜の樹の下に優雅にひびく音があった。えも言われずに謎めいて聞こえてくる音、その周りには人垣が出来ていた。

 ひとごみに誘われ、ふらふらと出かけたサンコニャは突然聞こえてくるコギリの音に死ぬほど驚いた。
「ああ、これは“ダルペン”だ!?」

 

2002/04/09 Tue

 “ダルペン”はコギリの曲の中でも古典的名曲で難曲だった。この曲をこのように弾けるということはかなりの熟達者が弾いているに違いなかった。その音色は深い静寂ときらびやかさが同時に重なりあい、老樹桜の実在の相を見せてさえいた。

 恐る恐る近づいて人の肩ごしに覗き見ると、ひとりの男が弾いているのが見えた。

「あっ!?」
 サンコニャは息が止まった。

 

2002/04/10 Wed

 サンコニャは自分の頬をたたいてみた。
「ヨージェメ?!ヨージェメが弾いてる?!...ヨージェメってここに本当に居たんだ?!」
 サンコニャは思った。だが毎晩サンコニャの夢に出て来てコギリを教えてくれたヨージェメは肌が黒かったはずだ...。
 いや、目を擦りよくよく見ると弾いてる男は日本人だった。サンコニャが錯覚するほど雰囲気からしてそっくりなのだ。眉を寄せる細かい表情にいたるまで驚くほど似ていた。
 演奏が一息ついた時に、やっとヨージェメとは別の男だということがサンコニャに解ったほどだ。
 驚くのは、ふたたび男が演奏を始めたとたん瓜二つにしか思えない存在に戻っていた。

 

2002/04/11 Thu

 その男の演奏は、まるで目の前で大掛かりなマジックを見せられたような印象を与えた。観衆はその見えているものよりも我が目を疑った。
 精霊の実在は架空の劇のような様相でその場に展開しはじめた。

 

2002/04/11 Thu

 普段見なれた現実の存在を根底から揺さぶるように、さくらの精霊が観衆の眼前に立ち現われた。身の丈5、6メートルはあろうと思われる醜悪な姿、それは鬼を連想させた。しかし悲しみに満ちたその眼差し、洗練された動きは何者にも似てるものがなかった。
 ただただ茫然と見る観衆の上に、“美の問いかけ”の桜の花がはらはらと舞い落ちてきた。

 

2002/04/12 Fri

 いつのまにか気がついてみると醜悪な桜の精霊もコギリの男もかき消えるようにいなくなっていた。
 サンコニャは、はっと我に帰り、今見たものはアフリカでも見たことがあると思った。

 あたりは水を打ったように静まり返っていた。観衆の狐にでもつままれたようにあたりを見回すのが“わさっ”という音になって大きく聞こえるほどであった。その瞬間、芝居の後のようにどっと花の賑わいが戻って来た。
「...精霊だ!」
サンコニャは息を呑んで言った。

 

2002/04/15 Mon

 ここで少し蛇足です。

 “精霊”を自らの存在に直接降ろすことはかなり危険なことです。それなりの経験とコントロールが求められます。

 ある強力なシステムの違う世界とのコンタクトは、その外力がソフトウエアー、システムを破壊する可能性があるのに似ていますね。

 これらの世界と、うまくしてコンタクト、コントロ−ルが可能になった時、全然別のエネジーが流れ込んできます。
 そのパワーは自分自身の潜在能力を一変させます、はかり知れないほどの能力が出現する可能性も在ります。しかし反面、一度つながったシステムの切り離しは難しく、へたをすると“精霊”に乗っ取られてしまうこともあるのです。

 このような“精霊”現象は日本にも西アフリカにも歴然とまだ根幹にあるのです。

 

2002/04/15 Mon

 サンコニャはあの日以来、精霊とヨージェメに瓜二つの男の出現した桜の老樹の下に、昼となく夜となく何度も行ってみた。しかしその場所はなにごともないことを装っていた。

 あのときから1週間後の夜だった。公園のひんやりした空気の中、老樹の傘のように伸びた新緑と葉桜の下、灯されたランタンの周りに数人の男女が賑やかに遅い花見をしていた。
 と、どこからともなくコギリが幽かに、あの“ダルペン”が小さく空耳のように聞こえて来るではないか!?

 

2002/04/16 Tue

 その幽かな音楽は桜の樹の中から聞こえてきた。

「木の中から音が聞こえて来るのがわかります?」
 グループの男が振り返って、立っていたサンコニャに言った。
「え?木の中から聞こえてるんだ!?」
 サンコニャが目を丸くして言った。
「そう、葉っぱを耳にあてても聞こえますよ。ぼくらはこの不思議な現象について話してたんですよ微妙やな〜。」
 緑の帽子の若い男が言った。
「あなたも一緒にどうですか?」
 ショートカットの若い女が言った。
「これは愉しいですよ〜...。」
 グレートフルデットのTシャツの女が言った。

 

2002/04/16 Tue

 サンコニャは葉桜のひと葉を耳に当ててみた。それは幽玄の世界からのささやきのように聞こえて来た。幽かにあの“ダルペン”が聞こえてきた。サンコニャは突然頭を殴られたほどびっくりした。ダルペンに合わせて歌う声!わずかに聞こえる聞き覚えのある歌声は確かにココレレだ!
「どうです、微妙でしょう?」
 緑の帽子の男が笑って言った。
「なんかアフリカの人?ガーナの人みたいね?」
 Tシャツの女がスルメ片手に言った。

 

2002/04/17 Wed

 サンコニャは気を取り直して答えた。
「そうです、ガーナのアクラから来ました。名前はサンコニャです。...なんで葉っぱからきこえるの?」

「これは、何かのバイブレーションがシンクロして桜にレコードされたんだろうね...、きっと。さくらのベースにとっても近い精霊とか...、何かだろうね...。」
 コッフェルでビールを呑んでいた年令不詳の男がサンコニャをじっと見て言った。

 男はガーナじこみのケンテ柄の帽子をひょいと持ち上げてつづけて言った。

「ガーナじゃ魔術がさかんだから解るよね。サンコニャ、君は双児だよね...。わかるよ。もうひとりが今捕われてる...。う〜む、ほっとくとあぶないな。ん、あぶないぞ。...よし、みんなでパンロゴをたたこう!ティガリ!、ティガリのリズムだ!うお〜。」

「え?!」
 サンコニャはあっけにとられた。

 

2002/04/18 Thu

「会長、待って!待って!わたしたちティガリ知らないわよ?!」
 ショートカットの女があわくってパンロゴを引き寄せて言った。

「んー?そうだったっけ〜?んじゃフメフメ!フメフメでいこう〜!」
 男が言った。
「会長!?そんなんでだいじょぶっすか〜?」
 緑の帽子の男が言った。
「だいじょうぶ!だいじょうぶ!それ、ツー、スリーフォー!!」
 男がカウントを出したとたん勢いよくフメフメがはじまった。

 

2002/04/18 Thu

 なによりも驚いたのはサンコニャだった。なぜ日本のここでガーナの太鼓パンロゴ、それもフメフメが?...この連中は何者だろう?!
 ...それにココレレの危機がせまっているって?!これは直感でサンコニャにも感じられていた。

 始まったパンロゴサウンドに2、3にんがサークルになってダンスを始めた。ますます驚いたことに、そのフメフメは本格的だった!
「ティガリはハンターで、よき精霊だけど、しょうがね〜やね...。フメフメはちょっと予想がつかねえ〜な、何が出るか...、大丈夫サンコニャ...ま、なんか助けにきてくれるよ...。」
 会長と呼ばれる男はケンテ帽子をひょっと持ち上げて言った。

 サウンドとダンスはますます盛り上がってスピードを増してきた。

 

2002/04/19 Fri

 夜の公園の老樹の下、ダンスのサークルにさらに3人加わってますますスピードを上げた。

 “ティンティンパ、シピリンパ/ティンティンパ、シピリンパ”
 みるみるダンスサークル中央の地面がチョコレ−トの様に解けはじめた?!

 そこにクリンとした瞳が愛らしいお供の少年2人を露払いに“ビックママ”が現われた!?真紅のガーナドレスに渦高く巻き上げたヘッドドレス。カンテラに照らされ、茶目っ気を充分に含んだ眼がやさしく強く光った。

「わたしは“ビックママ”、なんかわたしにご用かしら?」
 自信たっぷりにビックママが言った。
「うわわわ?び、びみょうや〜ホントに出て来た〜?!」
 緑帽子のザッキーが太鼓をたたきながら驚嘆の声を上げた。

「ビックママァ?!」
 みんな一斉に声をそろえて言った。

 

2002/04/22 Mon

「わたしの得意わざは、ガ風アポンチンフーフーよ!?皆さんのお口に合うかどうかしらね?」
 ビックママが弓月のような口で笑って話しかけてきた。
「え〜!?それは凄い!?早速頼んじゃおうかなあ?ゴックン!」
 会長がすぐさま反応した。
「会長!そんな場合じゃないでしょ!?」
 グレートフルデットのTシャツの女、ナオコがソロをたたきながら怒鳴った。

「ビックママ!僕の話を聞いて!僕の兄弟のココレレがどうしてるか知ってる?危ないんだ...。」
 サンコニャが言った。

 

2002/04/23 Tue

「まあまあ双児ね!ココレレかと思ったわ。あなたがサンコニャね!ココレレ...、よく覚えてるわ、そうそう“ホール”に落ちてきた時にひん死の重傷だったわ。あの子...わたしが面倒みたわ!なんなの?危ないですって?!
...やつらね!
わかったわ、とにかくこのアポンチン料理をお食べなさい!すべてはわたしの1番を味わってからよ!」

 ビックママは、お付の童の持つナベの蓋を開けた。

「うお〜っ?!」
 立ち上がる湯気に会長が叫んだ。

 

2002/04/23 Tue

 一同ひとまずフメフメやダンスの手を休めてビックママの味自慢、アポンチンフーフー料理に飛びついた。

「う、うまい!けど、...か、から〜い!」
 ショートカットのももちゃんが泣きそうに言った。

「え?!どえらくうまいけど辛くはないですよ?!微妙やな〜、この味。うま。」
 ザッキーがあっというまに平らげた。

「ああ、うまいぞ!?コレ?!なんだったか昔食べたうまかったモンにそっくりなんだけど...??、なんだったかな〜?ああ、しかし懐かしい!」
 会長は口に持って来た手をフリーズさせ遠い目で考えこんでしまった。

「ああ、これはお城にいた時のママの味です。おいしい!」
 サンコニャが言った。

「うまいね〜!コレ!ガーナのチョップバーでおやじが食わしてくれた味だ〜!?忘れられないぞぉ!」
 なおこが叫んだ。

「今食しているのは特別“フレンチ方式”にしてあるのよ。それぞれの体験する印象がまったく異なりながら同じということね。ふふふ。」
 ビックママが自慢げに言った。

 

2002/04/24 Wed

 ビックママはおもむろに葉桜の葉をひと枝ちぎって言った。
「さあて、わたしの得意技を味わってもらったところで、魔術にとりかかるわ。この桜の若葉を見て!わたしの持っているこの葉っぱにそれぞれイマジネイションのパワーを集中してちょうだい。この葉っぱからココレレを呼び出すのよ!
ほほほ、そうよこれは“フレンチ方式”のリバースパワーを応用した魔術なのよ!
ココレレとダルペンを思い出して。さあパンロゴをたたいて強く目の前に思い描くのよ!」

 

2002/04/25 Thu

 一瞬の眩い閃光とともにサンコニャは不思議な世界にいた。

 遥か遠くになつかしいノコギリの歯のような地形が広がっていた。あたりの空気は金色の粒子を帯びていた。アリ塚のようなものがところどころにそびえ、その間を縫うようにして川が音もなく流れてた。その流れは溢れるほどの豊富な量の水を足早に流している。周囲には無数の花が咲き乱れ続いてた。
 天上を見上げるとかぎりなく澄んだ空から、柔らかい花びらのようなものがゆっくりゆっくりおりるように降ってくるのが見える。...しかしそれは地上に着くころには消えてしまっていた。

「ここはどこ?みんなは...?」
 サンコニャはおそるおそる辺りを見回した。

 

2002/04/26 Fri

 後ろを振り返ったとたんサンコニャは声も出なかった。足元から地面が奈落の底に落ちこんでいた。驚いたことに自分の後ろはまったく違う様相をあらわにしていた。かかとから1センチもないところから後ろは何もなかった!?サンコニャは恐怖でまったく身動きが出来なくなった。今迄意識したことのない“後ろ”の恐怖に取りつかれてしまった。これは死に神の手下“無”の仕業だった。
 そのときビックママの呼び声がして、サンコニャはあっという間にもとの場所にひき戻された。
サンコニャはココレレが“無”に捕まってるのを直感して涙がこみあげてきた。

 

2002/04/26 Fri

「ビックママ、ココレレのおかれてるとこは恐ろしいとこだよ。今、得体の知れないほど闇が突然見えて驚いた!」
 会長が言った。
「ええ?!おんなじ!」
 ナオコが叫んだ。
「オレも!今、もう戻れないかと思ったな〜!!コエ〜!」
 ザッキーが大きく目を見開いたまま言った。

「わかったわ、ココレレは“無”に捕まってしまったようね。他のみんなも今“無”を見たでしょう?」
 ビックママが見回しながら言った。
「あ?ももちゃんがプッツンしてるよ?!」
 ザッキーが引きつるように横を見て言った。
「だいじょうぶ!今呼び戻すわ!』ビックママは言うが早いか、お供のフランキーになにか取り出させた。それはなにか動物のしっぽのような棒で、それでももちゃんの鼻の下を撫でた。
「」は〜くしょん!...あ?!うわぁ!こわかったよ〜!」

 ももちゃんは突然泣き出した。

 

2002/05/01 Wed

「む?!ちょとみせてくれる?」
 会長はその“しっぽ”に顔を近付けた。そのとたん鼻にくっついてどうやってもとれなくなった。
 会長は“しっぽ”の鼻をぶらつかせ、まるで象と天狗の謎のイキモノのような様相を呈した。

「あんたが気にっちゃったみたいだよ。しばらくこのままだね。」
 ビックママが言った。
「ずうぇ〜?!...案外気に入ってます...。む!どうしたことだ?!野性の力が込み上げて来る...。野獣の感が甦って来る?!がんがおぅ〜!!臭うぞ 臭うぞ、近くにやつらがいるぞ...。おお?からだの反応がなんと素早いのだろう?筋肉にエナジーが充満してくるのが解る!...イイぞ〜!」
 会長が叫んだ。

「か、かいちょう?」
 ナオコが言った。
 会長は恐ろしく素早い動きで枝を伝い、たちまち老樹のてっぺんに在った。

 

2002/05/07 Tue

 やおら“無”は正面から現われた。そこにいたサンコニャはじめビックママまでが“無”を直視してしまった。自分の前途のあまりの寄る辺なさにみるみる顔は不安を帯び明るさと希望がうばわれた。

 なにもない空間が低く響き渡る声で言った。
「一番いいのは生まれないことだ。二番目にいいのはすぐに死ぬことよ。」
 左右からも低い声がステレオのように声が響いた。
「生きることに意味はないぞ。」
 いつのまにか左右からも“無”はサンコニャ達に迫っていた。

 謎の野獣化した会長は天狗のように老樹のてっぺんからこの様子をじっと見つめていた。

 

2002/05/08 Wed

 と、いきなり野性の目覚めた会長は木のてっぺんから“無”におどりかかった。
「ふざけんなよ!かっこつけるんじゃねえ〜ぞ!!」
 会長の謎の鼻はしっぽのようにバランスをとりながらなにもない空間をバシバシッとむち打った。

「ビビビビ〜〜ン、てめ〜らのようなまやかしで、有り難く続く命の炎を消されてたまるかよ!おとといきやがれ!」
 さらに何もない空間に鼻でビンタをくらわした。
 野生化した会長の突然の奇襲に不意をつかれたかたちで、その場に3人のローブをまとった“無”が現われ、将棋倒しに倒れ込んだ。

 

2002/05/09 Thu

「やいやい、おめーたちはいつもワンパターンだな、俺の言うことをよーく聞けよ、さもねえとその風呂上がりのようなローブひっぺがすぞ!」
 倒れ込んだ“無”の頭巾の中に向かって野性化した会長がどなった。
「うわ!それだけはごかんべんを!これ取ると溶けちゃうんですよお、なんでもいたしますから...、勘弁して下さい。」
 なにもない顔が言った。
「よ〜し、じゃあみんなをもとに戻してココレレをここに出せ!」
 しっぽ鼻を振り上げて会長が言った。
「皆様はすぐ戻しますが、ココレレは私どもの親分が預かってるもんで...。」
 “無”が言った

「ふ〜ん、そうか。じゃあ親分をここへ呼べ!」
 ブンブンしっぽ鼻を振り回しながら会長が言った。

 

2002/05/13 Mon

「ところでお前らの親分て誰だ?」
 会長が言った。
「ヌ−ヌル様です。」
 3人の“無”が声をそろえて力強く答えた。
「ぬ〜ぬるさまあ?」
 みんなのあんぐりと口が開いたままになった。

 

2002/05/14 Tue

「あ?、ヌーヌル様知らないんですか?」
 ”後ろの無”が言った。
「今、こちらの世界では売り出しの実力者ですよ?」
 ”横の無”がステレオで言った。
「え〜!知らないよ〜!?」
 みんな声をそろえて言った。
「じゃあ、皆様、声をそろえて喚んでみましょう!ハ〜イ!ご一緒に!」
 “無”がコンダクターのようにタクトを振った。

「ぬ〜ぬるさま〜あ!」

 突如低い地鳴りがあたりを揺るがしはじめた。

 

2002/05/15 Wed

 地鳴りとともに想像を絶する巨大なカップヌードルが突然なにもなかった空間から出現した。
「わわわ!ホンモノだあ〜?!」
 ザッキーが叫んだ。
「OH!YOU〜〜?」
 地鳴りの中、迫力の低い声が一面に響いた。

 

2002/05/21 Tue

 見上げる超巨大カップヌードルの上に長いマントをなびかす肩幅のある人影が黒く見えた。やがてそのまま地上5〜6メートルを保ちながら飛行するカップは、アングリ口を開けた連中のほんの近距離迄来て空中にとどまった。

 その顔は鉄仮面で覆われていた。

「ははは!諸君、誰ぞ私を呼んだか?」
 地獄から響くような声でヌーヌルが言った。
「あ〜もう〜もねんだよ!ココレレはどこだ?!ここへ出せ!」
 野性化した会長が吠えかかるように言った。
「ココレレ?あ〜、それならここにおるよ。それここだ!」
 ヌーヌルの脇に小柄のマントがなびいて登ってきた。なんと顔には同様の鉄仮面がはめられていた。
「ココレレ?!」
 サンコニャがかすれた声を張り上げた。
 依然として小柄の鉄仮面は無反応にこちらを見ていた。
「ほんとにココレレなの?!」
 ビックママが言った。

 

2002/05/22 Wed

 ヌーヌルのその奇怪な容貌はバテレンの戦国武将を思い起こさせた。どことなくジェダイの宿敵ダースベーダにも似ていた。

「わたしは闇の国より諸君を救済にきたのだ!君たちのメモリーを一刀の下に切り落としにな。」
 仮面の漆黒の眼窩が怪しく光った。

「メモリーを切り落とすって?」
 サンコニャが恐がりもせずに正面から聞いた。

「その人間がとくに大事にしている記憶じゃ。」
 背負った刀の束に手を掛けながらヌーヌルが言った。

「考えてもみろ!お前達の生きた時の中で、どの記憶が大事なのか?...言ってみろ!どれも目の上のタンコブのように本来の安らかな死を妨げておる。」
 ヌーヌルが言うのと同時に、抜きざま太刀がサンコニャめがけて振り降ろされた。

 

2002/05/23 Thu

「ほう、歳の割に度胸がすわってるな。」
 ヌーヌルが言った。
 振り落とされた太刀はサンコニャの額寸前のとこでピタリと止まっていた。
「どうだ、サンコニャ!ココレレと太刀を交えてみる気はないか?おまえはココレレを助けた
いだろう?」

 そのままの姿勢でヌーヌルが言った。
「この太刀は普通の刀ではない。鍛えられたスピリッツを持った者でないと抜くこともできな
い太刀だ。おまえはなにかで、だいぶ鍛えられておるな?...。おもしろい、チャンスをおまえに
やろう。」

 いつのまにか、ひと振りの太刀をヌーヌルは差し出した。
「サンコニャ、おまえがここに居るココレレを切ることができれば彼は一瞬にしてメモリーを
取り戻し、以前のココレレ自身に戻ることができる。どうだ?やってみるか?!」

 太刀をサンコニャの方へ投げかけヌーヌルが言った。

 

2002/05/29 Wed

 手渡された太刀はサンコニャの手に吸い付くようにフィットした。
 抜いてみると、とたんに気魄とは逆に無上のリラックス感で満たされた。
 サンコニャは太刀を持つのは初めてだが、心の動きのままいかようにも振り抜ける感じだった

 ただサンコニャは戸惑った。この仮面の相手がココレレで、ヌーヌルの言うとうりなら、この仮面の戦士を倒す意外ココレレを助ける道はなかった。

「うおぉ!?」
 周囲の声があがった。
 仮面の戦士が音もなく上段真っ向、一撃を仕掛けて来た!
 サンコニャの迷いは雲が切れるように晴れさっぱりとなくなった。
 サンコニャの額の勾玉様のアザから血がわずかに流れた。サンコニャは紙一枚の差でこの一撃をかわしてた。

 

2002/06/03 Mon

 そのとき、はりつめた空間をやぶるように突然として無音の衝撃が走った。なにもない空間から巨大なやわらかい立方体がさざなみのゆらぎのように現われて来た!

「うわっ?!巨大なとうふだあ〜?!」
 野生化した会長が叫んだ。
 カップヌードルをはるかに上回る“ゆらぐとうふ”の出現はここにいた一同を圧倒した。
「ぬーぬるさまあ?!なんでしょう?アレ?!」
 “無”が声をそろえて言った。
「し、知らん、わしも見たことがないぞ。」
 ヌーヌルが言った。

「あれは、ゴマ・フートよ!!」
 ビックママが目玉が落ちそうな顔で言った。

 

2002/06/04 Tue

「そう!話には聞いていたけど、ゴマ・フートを見たものはここ数千年ぐらいいないはずだわ。」
 ビックママが続けた。

「ホントにめずらしいのでめったに見た者はいないわ、歴史的な転機に見たという記録が残ってるわ。わたしも実際見るのは初めて!すごいわねほんとに、“ゆらぐおとーふ”とはホントそのとうりだわ!うふふ、なんだかユーモアあるわ。」
 ビックママが言った。

「確かにこの勝負はただの勝負ではない!ふさわしいヤジウマ登場ということじゃな。」
 ヌーヌルが低く響く声で言った。

 その声が言い終えるか終えないかのうちに、サンコニャの太刀が瞬間ココレレの仮面の眉間にみごとに入って、仮面はスローモーションのようにゆっくり2つに割れ、顔がのぞいた。

 

2002/06/05 Wed

 そこから現われた少年の美しい顔はまさにサンコニャに瓜二つであった。
 しかしその眼は、魂を奪われ半眼で視線を閉じていた。

「ココレレ!?」
 サンコニャは叫んだ。
 ココレレのメモリーは失われているのか...?瓜二つの戦士の眉がピクリとした。

 その瞬間双方の太刀が鋭くぶつかりあった。

 離れ際にサンコニャの太刀が目にも止まらぬ速さで左に返り、空中にポーンと何かが飛んだ。
 ゆっくり空を切りビックママの目の前にドスンと落ちた。

 それは美しい少年の首だった。

「ぬ...!これまでだ!また遇おうぞ!サンコニャ。」
 ヌーヌルの乗ったカップヌードルは空間が閉じるようになくなった。

 

2002/06/06 Thu

 だれもがこの成り行きに固唾を呑んだ。
 場は水を打ったように静まり返っていた。
 ここにどれだけの沈黙が在ったのかだれもわからなかった。

 と、ころがったココレレの首は金色の微粒子につつまれながらゆっくり起き上がった。
 額の勾玉状のアザからは、まばゆい白金色の光が十方に放射され神々しい香があたりを満たした。

「サンコニャ、ありがとう。」
 不思議な声がみんなの心に聞こえた。

 

2002/06/06 Thu
「サンコニャ。君の比類なき一太刀がすべてを正覚させた!あらゆる神々、精霊のうまれるところをはるかに超えて、すべての存在という存在は今、本当の不思議の相を見せた!」
 えも言われぬ声がどこということもわからずに聞こえた。
 それはココレレの首からもゴマ・フートからも聞こえたようにも思えた。

「ぼくはふたたび生まれ変わることはないだろう。 ぼくと同じ魂よ、...サンコニャ。」


 おわり

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